2003年度(平成15年度)
 
JANARDワークショップ報告

第1回  参加型開発手法他流道場 (東京) 2003年7月19日、20日
第2回  パーマカルチャー道場 (神奈川) 2003年10月29日、 30日
第3回  国際協力支援実践道場 (京都) 2003年12月7日、80日
第4回  バングラデシュ道場 (バングラデシュ) 2004年1月5日〜13日
第5回  評価ワークショップ 2004年2月7日



平成15年度 JANARDワークショップ第1回

  参加型開発手法他流道場

実施時期
:平成15年7月19日(土)13:00 〜20日(日)12:00(一泊二日)
主 催:外務省 
実 施:農業・農村開発NGO協議会(JANARD)
コーディネーター:特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会
場 所:国立オリンピック記念青少年総合センター
目 的 @ 「参加型開発」理念と態度・行動についての理解促進
A 参加型開発手法の分析と補完的利用法の模索。それらの現行プロジェクトへの適用の可能性をさぐる
国際協力の現場ではPCM、PRA、KJ法など様々な参加型開発手法が脚光を浴びている。しかし国や文化によって適した方法は様々あり、手法のみが一人歩きしてその背景にある理念などが、十分に理解されていないケースも見受けられる。そこで、この他流道場では、代表的な参加型開発手法を取り上げ「参加型開発」そのものに対する理念や必要とされる態度を検討し、それぞれの手法の持つ長所を活かし、短所を補うような相互補完的な利用と、プロジェクトの質向上に向けた議論と実践の場にすることをめざした。

7月19日(土)
 13:00 「参加型開発手法の利用状況:参加型開発の必要性、現状と課題」
 講師 斎藤文彦(龍谷大学国際文化学部助教授)

□斎藤教授からは、まず、「貧困とは何か」の定義として、従来の物資的な欠乏を満たすという考え方から、90年代後半以降、「個々人の持つ潜在能力の発揮=自由」というアマルティア・センの考えに影響され、この自由が十全に認められていない状態を「貧困」とみなす考え方が主流になっているとの指摘があり、人々自身が自らを開発していくプロセスにどのようにNGOが関わりをもっていくのかが問われているとの示唆があった。インドで発祥したPRA(次項参照)も人々と人々を取り巻く経済・社会・文化的な環境に対する認識を表現しようというものであるが、NGOの側が人々が提供した情報を一方的に利用する傾向も否定できない。あくまで人々の参加を促すツールでなければならない。
 
 14:30 手法1「PRA(Participatory Rural Appraisal):手法概要とその利用」
講師Mr. Saleela Patkar (MYRADAスタッフ、インドNGO)

        □Patkar氏は南インド3州において100万人の農民を対象にPRAのトレーニングを
        行っている。自分たちの村の地図を書いたり、村の資源、気候、都市への出稼ぎなど
        を文字以外の手段で表現していくPRAの様々な方法を伝授している。人々の参加なくして持続的な開発はあり得ないという信念から息の長い活動を行っている。

 16:30手法2「PCM(Project Cycle Management):現状分析・理論的思考の重要性」
講師 源由里子(国際開発コンサルタント)
        □源氏からはPCMとは何かという基本すなわち、計画→実施→評価→再び計画というサイクルを活かしたプロジェクトの進め方について解説を受けた。最近ではこの手法は海外における開発分野だけでなく、国内の福祉事業などでも活用されているとの言及も興味深い。
 18:00  夕食、休憩
 19:00 手法3「KJ法 −問題認識と合意形成メカニズム−」
講師 鎌田陽司(開発と未来工房)

□ 鎌田氏からはKJ法の基本的な手法についてレクチャーがあった。テーマ設定を行ったあと、そこから想起する言葉(キーワード)をどしどし、細かくあげていくことで(1カードに1ワード)全体と個別の事象を「手段」と「目的」に分別していくのがKJ法である。最終的には1枚の紙の上に全体像が全て網羅されるのが理想である。発想を広げていくツールとしては優れているが、問題解決のための論理構成には不向きで、その点ではPCMに及ばない。
その後、グループを6つに分け、それぞれのテーマごとに(例えば、NGOで働くこと、地産地消など)KJ法の実践を行った。
 22:00  交流会、就寝 

7月20日(日)
8:00  朝食
9:30-12:00 全体討論、アクションプラン作成、発表、解散
□ 昨日の夜に行ったKJ法の実践についてそれぞれのグループが発表を行った。
□ その後、ネパールの農村地域を想定した村をケースとして取り上げ、この村の開発プログラムを進めるためのアクションプランを2つのグループに分かれて作成、それぞれが発表したものを相互に検討を行った。
□ ケーススタディに関しては資料参照。(ネパリパン国ポカラス村の現状)

<総括>
○ JANARDでは一昨年度、インドの実際のプロジェクト現場で「PRA」を学ぶほか、昨年度はネパールでフィールドワーカー向けの「PRA」の2日間にわたる集中コースを受けるなどのトレーニングの積み重ねを行ってきた。今回、PRA以外の手法として、「プロジェクト・サイクル・マネージメント」「KJ法」について学ぶことができたことは、今後のプロジェクト運営上、現地のニーズを人々の側から吸い上げるためのツールとして大きな収穫となった。
○ 情報収集だけでなく、課題の発見、解決のための道筋のつけ方など、思考の整理にも有益なツールとして、活用していくことが期待される。


平成15年度 JANARDワークショップ第2回

  パーマカルチャー道場

実施時期
:平成15年10月29日(土)13:00 〜 30日(日)15:00(一泊二日)
主 催:外務省 
実 施:農業・農村開発NGO協議会(JANARD)
コーディネーター:特定非営利活動法人 21世紀協会
場 所パーマカルチャーセンター・ジャパン藤野農場
目 的:パーマカルチャーの基本的な考え方を理解し、それをNGOの活動の現場で活かす
手法について学ぶ


10月29日(水)
13:30 パーマカルチャーの倫理と原則パーマカルチャー農園にて
設楽清和氏(パーマカルチャーセンター・ジャパン事務局長)

 設楽氏から30年前にオーストラリアのビル・モリソン氏が提唱した「地球をジャングルにする」、すなわち都市、農村を問わず世界中を森にすることをめざす農法について、森、土壌、水などに関する基本原則を学んだ。その背景には循環性や多重性(多機能)の重視などがあげられる。例えば、1ヘクタールの土地に
植えられた柳は年に2〜4トンの枝という形で薪を生産する。それをバイオマスとして利用すれば自分の土地でエネルギーを持続的に作り出すことができる。

パーマカルチャー農園にて16:00 パーマカルチャー農園探検。マッピング
PRAファシリテータ:田中博氏(ヒマラヤ保全協会事務局長)

 センター近くにある農園に参加者を2つのグループに分け、訪問。地形的特徴や作物同士の助け合い(例えば、マリーゴールドは虫の忌避作用を持つため、トマト、ナス、キャベツなどの周りに植えられている・こうした助け合いはコンパニオンプランツと呼ばれている)グループは45分ほど観察を行ったあと、センターに帰り、農場の地図を作成した。それぞれのグループごとに発表を行った。

20:30 パーマカルチャーのデザインと実践例
 設楽氏より前回の講義で触れられなかったパーマカルチャー特有の地形の利用方法などについて追加のレクチャーを受けた。
22:30 就寝

10月30日(木)
6:30 パーマカルチャー農園で農作業体験
       ハーブの苗の植付けなどを行った。
8:00 朝食
ワークショップ風景
9:00 ワークショップ
糸長浩二氏(パーマカルチャーセンター・ジャパン理事長 )
□実際の途上国の農村を例に(フィリピンを想定、資料参照)、パーマカルチャー農園を実際にデザインした。強風、近くの川を流れる洪水などの悪条件にめげず、参加者一同、パーマカルチャーの手法を応用したプランニングに知恵を絞った。

12:00 昼食
13:30  デザインの発表とフィードバック、ラップアップ
15:30 解散


●参考文献
パーマカルチャー―農的暮らしの永久デザイン   ビル モリソン (著)
 パーマカルチャーの基本がすべて詰まった本です。


<総括>
○ パーマカルチャーは地形や川、風などの自然資源を巧みに使って環境と共生し、そこからの果実を持続可能な形でつつましやかに収穫するというもの
で、「農業」というマーケティングを第一前提とするものより、「食糧・エネルギー」などの面からの個々人の自給自足、あるいは面的に広げたコミュニティレベルでの自立をめざす「思想」といったものに近い。
日本の農村で生きていた知恵を改めて、開発途上国に紹介し直す意味でも示唆に富む研修であった。化学肥料や農薬などの近代農業への見直しが始まっている今、環境保全型の農業、農村開発を考える上で、避けて通れない課題といえる。

○参加したJANARDのメンバーからは、インドネシア、バングラデシュや
フィリピンで担当している現場をもう一度、パーマカルチャーを導入する視点
で見直したいとの意見が相次いだ。ただし、自給自足がたとえ、完結したとしても、資本主義経済で暮らす以上、現金は教育や医療などの基本的なニーズを満たすために必要不可欠で、それをどうやって生み出すか、コミュニティにとって大きなチャレンジになるだろうという指摘もあった。

平成15年度 JANARDワークショップ第3回

  京都道場

地域開催(京都道場)

実施時期:平成15年12月7日(日)〜 8日(月)(一泊二日)
主 催:外務省 
実 施:農業・農村開発NGO協議会(JANARD)
コーディネータ:京都NGO協議会
          龍谷ボランティア・NPO活動センター
場 所:龍谷大学深草学舎(京都市伏見区深草塚本町67):7日(3号館201)・8日(21号館101)
目 的
     (1)日本の国際協力とNGOへの支援のあり方と
     (2)外務省と参加型開発手法を通した研究機関と実践団体との連携の模索 −官・学・民のコラボレーションを図る−

 JANARDの農業・農村開発の研究会/ワークショップは、関西地域での開催の経験がない。今回は京都という新しい場所にて開催することで、関西・西日本地域を拠点としたNGO同士が連携し、NGOの包括的向上を目指す。また、1990年代以降の重要な戦略である参加型開発の本来のあり方である貧困から抜け出すための開発を人間中心の活動としてとらえ、途上国の人たちの主体性を尊重し、その人々自身が力をつけることで自らの状況の改善を図ること(エンパワーメント)を目指す理念・原則について理解を深める。


12月7日(日)

14:00〜   オープニング
        農業・農村開発NGO協議会(JANARD)ビデオ (ネパール編)<外務省ビデオ>の上映15分

14:20〜15:30 外務省五月女光弘(外務省NGO担当大使)講演        

2003年初め、NGOと政府の連携強化の一環としてこのほどNGO担当大使が新設され、その初代大使に就任した五月女光弘大使がなぜ、日本が国際協力を行う必要があるのかについて次の4点をあげた。
第一は第二次世界大戦後、住む家も食べるものも乏しい苦しい時代、日本は国際NGOから大きな支援を受けた。特に大きなスポンサーとなったのが、南北アメリカの13のNGOで組織された「LALA」と米国のNGOの「CARE」だ。彼らは1500万人の日本の子供たちに衣料品や医薬品、食糧などの援助を行い飢餓から救った。その資金規模は当時の日本の国家予算の2分の1に相当した。

第二は国家の安全保障の側面があげられる。食糧の6割、エネルギーの9割以上を外国からの輸入に頼っている日本にとって、海外に多くの友人を持つことが重要だ。ODA大綱にも述べられているとおり、国際交流や軍事力などと同様、国を守るための一手段といえる。

第三は世界で二番目に豊かな経済大国となった国として無条件に人道支援を行うことが求められている。日本の場合、ODA予算のうちNGO支援は0.9%に過ぎず(2003年段階)、
5〜10%にのぼるヨーロッパ諸国とはまだまだ大きな開きがある。しかし、幸いなことにNGOに対する支援予算そのものは伸びてきているので、NGO、政府、企業などのそれぞれの長所を活かしたオールジャパンとして効果的な援助が必要だ。そのためにも私としては、政府のスポークスマンというより、NGOの皆さんと一緒に議論しながら国際社会への貢献を進めていきたいと思っている。

15:40〜16:40 外務省民間援助支援室から助成のあり方等について説明
      「日本NGO支援無償」などの資金助成のほか、4年前から導入されている「NGO相談員」や「NGO研究会」などのNGO活動環境整備支援事業などの実績についても紹介があった。

16:50〜18:00 質疑応答 五月女大使を交え、関西のNGOからの参加者を中心に質疑応答が行われた。

12月8日(土)

9:00〜10:10参加型開発手法の利用状況:参加型開発の必要性、現状と課題」
 講師 斎藤文彦(龍谷大学国際文化学部助教授)
         これまでの開発はインフラ整備などのハード中心に終始していたが、最近では開発を誰がどのように進めるのかといったソフト面に移行している。特に「誰が」の部分に関しては、その当該地域の住民が開発の主役(ストックホルダー)として注目されているだけに、外部者として開発のプロセスに関与するNGOや
       NPOの役割が厳しく問われるようになっている。一つはパートナーシップの問題だ。地域住民とNGP自らのアイデンティティと役割分担を明確にすることが重要だ。また、ファシリティーターとしての技量向上も必須だ。例えば、開発に関わる住民、政府、企業その他の関係者のそれぞれの認識の違いを明らかし、しかもそれぞれの視野を広げた上での問題解決への道筋を提示する力が必要となっている。協力や支援の名のもとに、「支援する側」「支援される側」に二分された関係に安住することなく、支援する側においても自ら成長することが求められているという指摘は示唆に富む。

10:10〜11:00スラウェシ貧困対策支援農村開発計画 総括ビデオ<JAICAプロジェクトビデオ>の上映15分×2本
         地域自立への挑戦 〜タカラール・モデル 1・2

11:00〜12:00 住民参加型農村開発 JICAプロジェクトの事例紹介
講師:龍谷大学経済学部 河村能夫教授
1997年から2002年にかけてJICAのプロジェクトとしてインドネシアのスラウェシにあるカタラ-ル
という人口1万5千人の村を対象にした、住民参加型の農村開発を行った事例について紹介が行われた。通常のJICAのプロジェクトであれば、専門家が村に入り、村人を指導するパターンになりがちだが、今回のプロジェクトは以下の三つの点で特徴がある。第一はJICA派遣の専門家は前面に出ず、村でのファシリテ-ターとしてNGOを選んだことだ。第二はプロジェクトのために村人を組織することはせず、既存のグループを発見し、その活性化を図ったことだ。第三は地方自治体のなかでもより村に近い郡と県を重視した。プロジェクト終了後の1年後、同地を訪問した際、プロジェクトによって生計向上プログラムなどに取り組むようになった活性化したグループの9割が活動を継続していた。住民を開発の主人公とし、ゆっくりとプロセスを進めるプロジェクトの有効性が実証された。

<総括>

□外務省との意見交換
五月女大使はじめ外務省の担当官と直接、関西のNGO関係者と意見交換を行うことができた。
例えば、国際協力を外務省だけの専管事項にせず、文部科学省にも働きかけ、小学校の段階から開発教育に力を入れてはどうか、またこうした複数の省庁を横に結ぶ開発庁を新設してはどうかとの意見もNGOの側から出された。また、NGOがODA資金のより大きな受け皿となるためにはどうすればよいかとの質問に対しては、五月女大使から「複数のNGOが連合体を組めば可能性が現在よりも大きくなるのではないか」との指摘もあった。

□ステイクホルダーは誰か
最近の傾向として参加型開発の手法を偏重する傾向があるが、開発の主体が誰なのか、言い換えればステイクホルダーは誰かに焦点を当てたJICAのインドネシア・タカラールプロジェクトは特に、参加者に大きな感銘を与えた。「プロジェクトのための組織化」を拒否し、人々がコミュニティのなかに既に持っている社会資源(既存の女性や若者のグループ)を辛抱強く発掘し、光を当てていく作業はNGOのスタッフはもとより、これから国際協力を志そうとする大学生など若者にとっても示唆に富むものであった、

□関西とJANARDとの出会い
JANARDの宣伝広報として、また関西地域で開催することで各NGO団体のデータ収集ができた。

                            以上




平成15年度 JANARDワークショップ第4回

  バングラデッシュ道場

ワークショップ報告(ハンガーフリーワールドのページへ)
写真集

平成15年度 JANARDワークショップ第4回
海外開催(バングラデシュ道場)
実施時期:2004年1月5日(日)?13日(月)(8泊9日)
主 催:外務省 
実 施:農業・農村開発NGO協議会(JANARD)
コーディネーター:ハンガー・フリー・ワールド(Hunger Free World・HFWと略)
場 所:バングラデシュ
目 的 @開発手法の一つであるAI(Appreciative Inquiry)について学ぶこと
AHFW、オイスカなどのバングラデシュで働くNGOの活動について学ぶこと 

AIに関する研修
第一部
日 時   2004年1月6日(月) 10時〜19時
場 所   H・F・W バングラデシュ事務所
出席者   道場参加者全員
      HFW 事務所事務局長 Mr. Miton およびスタッフ4名              
講 師  インドNGO MYRADA(注)   Mr.Yenjerappa, Mr.Rajachar
              記
1.JANARD, HFW, MYRADAの紹介を夫々担当者が行った。
2.出席者が各自の長所、価値観、自分自身の絵、ビジョン、家族からの評価(coat of armsと呼ぶ)を所定の用紙に書き、出席者に説明した。
3.この研修に何を期待しているかを、全員がカードに書いて提出した。
4.AI の基本的な考え方の講義を受けた。 
参加型開発のやりかたとして、これまでの手法の様に、問題点を発見・分析し、解決する方法ではなく、個人・組織・コミュニティがどのような力を持ち、何ができるかを見出し、前向きに取り組むことが重要であると強調された。言い換えれば、欠点や不足している点にこだわらず、自分が既にもっているものや力に焦点を当てる「肯定的な姿勢」を持つことに力点を置いている。
5.5人ずつの3グループに分かれ、各自がこれまでに経験した成功例を書き出した後、各グループの代表がそれぞれ発表した。その成功が何に起因しているかを話しあった。
  
(注) MYRADAは、1968年設立のNGOで、当初はチベット難民の救済が主であったが、1978年以降はインド国内農村部の貧困対策に力を入れてきた。現在はBangaloreに本部を置き、21のプロジェクトを手掛け、9個所の研修センター、400人のスタッフを擁し、年間予算は約1,000万ドルである。
第二部
日 時   1月7日(水) 10時〜19時
場 所   HFW バングラデシュ事務所
出席者   道場参加者全員
      HFW 事務所事務局長 Mr. Miton およびスタッフ4名              
講 師  インドNGO MYRADA(注)   Mr.Yenjerappa, Mr.Rajachar
1.AIの4Dサイクルについて学んだ。
Discover → Dream → Design → Doing →(Drum & Dance) → Discover →….
これはまず、自分たちの組織(あるいは個人)のもっている力を発見(Discover)し、その力に基づき何を実現したいと思っているのかのビジョン(Dream)について明らかにし、それを実現する方法をどうデザイン(Design)するかを考え、実行する(Doing)。このサイクルが一回りした段階でそれを評価し、次の発見につなげていく。
2.JANARD、HFWの2グループに分かれて各グループのビジョンづくりのワークショップ (Dreamづくり)を行った。
JANARD参加者はビジョンとして以下の「2010年のJANARDの姿」を作成した。
「ODAの30%をJANARDとして請け負い、メンバー団体が世界各国で働いて飢餓を撲滅した」
JANARD参加者から、「ワークショップだけの取り組みに終わらせず、JANARDという組織としての具体的な目標(ビジョン)を設定し、その実現に向けて参加各団体が協力し合うことで意見が一致した。
<1月8日(木)はHFWのプロジェクトサイトに移動。>
HFWプロジェクト訪問
日 時   1月9日(金)10時〜18時
場 所   HFW カリガンジ村
出席者   道場参加者全員
1. カリガンジ村から車で約1時間ほどの距離にあるMostobapor村に移動。
2. 同村で行われている村全体にトイレを普及させるプロジェクトの完成記念式典に参加。
3. 村のなかで行われている養蜂プロジェクトやメタンガスプロジェクト(家畜の糞を地下のタンクに集積、発生したメタンガスをパイプで台所に運び、コンロに接続。煮炊きに使用している家族を見学。
4. HFWが組織しているWomen Ending Hungerの縫製グループの女性たちにインタビュー。そのうちの一人は「縫製プロジェクトによって夫の収入の半分(月に約1500タカ)を稼けるようになった。自信が出てきた。二人の娘には将来、教師となってほしい。他の人たちにいろいろなことを教えてほしい」と語った。また、記念式典に参加した女性の副区長さんは「HFWがこの村に2年前にやってきてから村人の生活が着実に向上している。生計向上プロジェクトにより高利貸しに追われる人が少なくなっている」と評価していた。

日 時   1月10日(土) 10時〜16時
場 所   HFW カリガンジ村
出席者   道場参加者全員

1.カリガンジ村にあるHFWが経営する小学校・トレーニングセンター見学。生徒数、約100名。
2.井戸のヒ素除去装置見学。
ポンプ・沈殿タンク・炭とレンガを砕いたフィルタータンク・蛇口。2ヶ月に1度洗浄。
井戸の傍に植えてあるグアバの葉で、ヒ素除去を確認している。従来の水はヒ素で2・3分で黒くなるが、フィルターを通すと透明の水になる。
3.養鶏(マイクロクレジット)農家訪問。
雛をおよそ1年で4kgくらいに成長させて、1kg60タカで売っている。 
 HFWから年利0.5%で1万タカ借りて、毎月900タカ返済している。グラミーバンクの金利は16%。銀行はもっと高いらしい。基本的に1年間で返済することになっている。HFWが村の女性に融資している金額は40万タカ。回収率は70〜80%。
5. 女性の自立メンバーの野外会議訪問。
メンバー24人。現在メンバーの貯金高9717タカ、HFWが5%の利息を支払っている。女性メンバーの事業。
*養蜂希望者8人中3人が養蜂を実施している。
*母乳授乳トレーニングを2回受ける(24人)。村の女性から日本の女性に質問があった。「日本の女性がこの村に来るように自由に生きたい。私たちも日本に行く自由が欲しい。貯金はたのしい。会議はみんなと話ができるので楽しい」とのことであった。
 *メンバーの女性の一人が、夫のために2000タカのローンをして荷物運びの自転車を買った。一生懸命に働くようになった。
 *6000タカのローンで乳牛1匹買い、牛乳は飲んで栄養を取り、大きくなったら売る。
 *3000タカのローンで売店を開く。土地もなく食べるのにも困っていたが、店のお陰で食べられるようになった。夢は農地を買うこと。
6. HFWのプロジェクト、ソーイングトレーニング。
週6日の60日間コース。一般は150タカ。会員は75タカ。受講資格16歳以上。授業は2時間。目標は自分の服を作りたい。貧しいので内職をしたい。父・夫の理解を得て講習に来ている。

UBINIG訪問

日 時   1月11日(日) 9時〜16時
場 所   タンガイル町(ダッカから北に車で約5時間)
出席者   道場参加者全員
1. UBING(もう一つの農業のための政策調査研究センター)と農場を見学。
UBINGは、民間の調査研究団体であり、「ナヤクリシー」という有機農業を普及する運動を
20年前から進めている。ここのセンターには64人のスタッフが、ダッカには110人のスタッフがいる。センターでは、農民に対する徹底的なトレーニングを実施、農民のモチベーション(動機付け)をおこなっている。このやり方は、モデル農場から農業普及員を村に派遣するという従来の普及方法とは異なるものである。種籾、シードネットワーク、米つきなどの現場を見学した。特に「種子バンク」はみごとであった。在来種子の更新と新種発見をたえずおこなっており、コミュニティレベルで種子をコントロールしている。また多品種を用意することで、気候不順などによる不作に対するそなえもできている。
  その後、実際に有機農業を実践しているセンター近くの農家を訪問。
小さい面積でも耕作が可能な有機農業の現場をみた。ジャガイモ・サトイモ・ダイコン・キャベツ・ナス・カボチャ・サトウキビ・豆類・コムギなどが栽培されていた。「化学農業から有機農業へきりかえたら、収入は100倍に増えました。」とある農民はいった。1970年以降「緑の革命」とよばれた、化学肥料と農薬を多用する近代科学農業の導入によって傷つけられたバングラデシュの大地が、自然を深く観察し、地域の特性を利用する「有機農業」によって再生されていく様子をみることができた。
  またUBINICの維持・運営費は、繊維工場・出版・セミナー研修などから収入をえてまかなっている。NGO登録をすると政府から様々な制約をうけ活動がしにくくなるので、NGO登録はしていない。UBINICスタッフの言葉がとても印象に残った。「わたしたちの仕事はプロジェクトではなく運動です」
オイスカ訪問
日 時   1月12日(月) 10時〜18時
場 所   シャバル町(ダッカから北へ車で1時間)
出席者   道場参加者全員
1.シャバルのオイスカ研修所訪問
センターの教室でセンター長の宮島氏、江本氏、ベンガル人スタッフ8名より説明を受けた後、研修農場見学し、近所の元研修生農家2軒訪ねる。
  8年前にシャバル地域が輸出加工区に指定されてしまい、工業団地が近づいてきている。
  有機農業だが、研修所で研修を受けた周囲の農家の場合、10年かけて元の生産量にもどった計算である。有機への切り替えといっても、農家も生活がかかっているので急速に進めることには無理があり徐々に進めている。特に雨季は病害が多いので農薬を少し使う。

2. 研修農場見学
EM菌をつかっていた。農薬代わりにニーム、タバコ、唐辛子をつけた液体を作っていた。虫は網で手分けして集める。
3.研修生のOB農家訪問
 @バンチョウさん(シュシジャイ・ゴマル・ゴシュさん)
 オイスカの道向かいの農地。ジャガイモと米の2毛・2期作。米は2回とれる。

 Aホズルー・ライマンさんの養鶏場
 10×15メートルくらいの鶏舎。
 ひよこは20タカ、えさ代が34タカ、40日で2kgくらいに育つ。110〜120タカで売れる。1100羽育てており、電気代、運送費などいれても2万タカの収入になる。
 
<参加者の全体コメント>
1. AIについて 
* AIのワークショップと現場視察が分離してしまった。AIで学んだことに基づいて視察をした方がよかった。
* もう少し、AIの理解を深める研修が必要だった。時間不足の感があった。
2. HFWのプロジェクトについて
* クレジットに関しては村人が直接、管理運営するようになるとよい。
* 縫製プロジェクトのトレーニングを受けて、個人が収入を得ているが、集団でやるともっとよい。(スリランカで同様のプロジェクトを実施している参加者の指摘)
* 収入向上のプログラムは、現金収入があればそれでよいのか、個人の向上か、村全体の向上か。融資して頑張れる人のみ優遇され、貧しい人はどうなるのか。
なお、「この村はネパールの村より豊かであった。国全体ではどの程度のレベルに位置するのか」との参加者からの質問に対して、HFWのスタッフから「バングラ全体では平均レベル」との説明があった。また、HFWのプロジェクト地域同士を比較するため、もう一箇所訪問できればよかったとの声もあがった。
3. UBINIGについて
* 専門家主導ではなく、あくまで農民主体で伝統的な有機農法をめざしていることに感銘を受けた。特に「種子バンク」には強い印象を受けた。有機農法に転換した途端に、翌年は収穫が半減するが、2年目からは徐々に持ち直し、3年目に元に戻るという農民の言葉には説得力があった。
4. オイスカについて
* オイスカの養鶏はかなり成功している。ただし、日本のように儲かったので皆が作り、将来価格が暴落するのが不安だ。
  *研修生の対象として、或る程度、教育を受けた上層の人々を対象としている。本来のNGOとしては、より条件の厳しい貧農を対象にすべきではないか。日本での訓練成果はあるだろうが、地域のリーダーになっているかを検証する必要があるように感じた。



平成15年度 JANARDワークショップ第5回

  評価道場

評価会 

日 時   2004年2月7日(土) 15時半〜17時

場 所   JICA国際協力総合研究所

出席者   JANARD参加団体

議題
1. 第1〜4回のワークショップの報告 (各報告書、参照)
2. JANARDとしての総括

<成果>
@ PRA、PCM、KJ法、AIなど様々な手法について学習
上記の手法について内外の講師から過去3年間の研修を通じて、内外の講師から学ぶことができたことはJANARD全体にとって大きな収穫となった。今後は手法のために手法を学ぶだけでなく、自分たちの理念を絶えず検証しながら、その手法をプロジェクトの現場や組織運営に活かすことが求められている。
A パーマカルチャーの学習をさらに深く
今年度は昨年度の講義を聴くだけに終わった「パーマカルチャー」について実際に同農法の普及・実験農場を行っている日本パーマカルチャー協会の協力を得て、同農場を訪ね、泊り込みで農作業を含めて改めて深く学ぶことができた。
B バングラデシュの有機農業研究団体(UBINIG)を訪問
上記のAとも関連するが、第三世界の農村に有機農法を導入することは言うに易く、実行には大きな困難を伴う。理由は化学肥料や農薬のサポートを中止し、有機農法に切り替えた途端、収量は半減あるいはそれ以下に落ち込むことも珍しくない。元の収量に戻るのに3〜10年かかるとなれば、日々の暮らしに追われる人々にのみ負わせるには大き過ぎるリスクといえる。それをどのようにクリアするか、少なくとも二つの方策が考えられる。一つは有機農法を採用することによる地力回復の中長期的なメリットへの科学的な納得、
もう一つは有機農法への転換によって生じるリスク(より端的には不利益)を個人に負担させるのではなく、何らかの形の共同体(農業組合あるいは共済組合)を組織し、皆でリスクを分け合うことが必要不可欠である。

<課題>
@ 研修を受けたJANARDの参加メンバーに研修がどのようなインパクトを与えているかを検証する。
A 今後、JANARDがどのような具体的な目標を掲げて、活動していくのか、来年度以降、中長期を含めて事業計画づくりが急務である。

                                    以 上



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