2002年度 農業分野NGO研究会
1. 第1回・東京:参加型開発〜参加の主体は誰なのか 2. 第2回・ネパール:現場で活きる参加型手法とは何か 3. 第3回・茨城:NGO活動の実践事例から学ぶ 4. 第4回・千葉:持続可能な農業技術を学ぶ 5. 第5回・八王子/東京:総合的な農業へのアプローチ 6. 第6回・東京:評価会
PART1
(注)JAITIとはJapanese Agricultural Inserivce Training Institute Foundationの頭文字の略。1989年、長野県出身でヒマラヤ登山に魅せられた菊池健介氏が登山を通じて交流の深まったシェルパ族の人々の生活向上をめざして農業指導を行うために設立された。目標としては1)日本の農業技術導入による農家の生活水準の向上2)学校づくりを通じての教育の充実をあげている。 ●オリエンテーション イチゴ栽培に挑戦する カトマンズの北西25kmに位置するカカニ渓谷に研修農場をつくり、水量豊かで都市に比較的近い地の利を活かした商品作物の栽培を行っている。まず着手したのがイチゴの露地栽培である。イチゴを選んだ理由としては、1)カカニ農場の気候や地味などがイチゴ栽培に適していたこと 2)イチゴはランナー(つる)で増えるため種がいらず、コストも安く苗を増やしやすい。3)大消費地であるカトマンズに近い。なお品種としては女峰(栃木県産)を選んだ。現在、7500・の畑から1〜1.5トンを収穫している。 近隣農家への伝播 5年間の実験栽培の後、商業化にメドがつき、研修を希望する近隣農家に徐々に技術提供を広げていった。1994年から1995年にかけて30名の研修生を受け容れ技術指導を行ったところ、1995年に農家45軒がイチゴ栽培を開始した。翌96年には200軒に増え、2002年現在では700軒に拡大している。JAITIでは現在、イチゴに引き続き、キウイとサツマイモ栽培にも取り組んでいる。 ●農家見学 午後から二つのグループに分かれ、JAITIから徒歩15〜20分ほどのイチゴ栽培農家を訪ね、苗の植付けを見学するとともにインタビューも行った。 欲しいものは買った Sumita Shresthaさん(22歳)は5年前にJAITIの研修を受けたのをきっかけにイチゴ栽培を始めた。6人兄弟の長女。赤い野球帽を被ってきびきびとよく働くしっかり者。栽培面積は約600・。年間1〜1.5万ルピーの売上に対して肥料や市場までの運搬費用などのコストは2500ルピーで済むので残りは全て儲けとなる。最初の収穫で白黒テレビ(6000ルピー)を買ったのを手始めにミシン、自分と妹二人に金のイヤリングを購入。あとは弟や妹の学資にしている。「欲しいものは殆ど買った。あとは1万5000ルピーを貯めてカラーテレビに買い換えるのが目標」と笑う。実家はとうもろこし畑も持ち、家は3階建てで大きく、生活全般に余裕が感じられた。 生活が忙しくなった 上記のようにイチゴ栽培の導入によって確実に現金収入が伸びているのに対して、逆に問題も生じている。 イチゴ栽培の前には大工仕事をしていた別の農民は現在、所有地の全てでイチゴ栽培を行っている。年間6万ルピーの売上があるが、化学肥料、殺虫剤、苗づくりのためのプラスチックや苗などのコストがかかり、現在、1.5〜2万ルピーの借金がある。その理由としは以下をあげる。また印象的なコメントとして「イチゴ栽培を始めて生活が忙しくなった」との言葉があった。 1)連作障害 毎年、畑を休ませることなくイチゴを植えているので、だんだん実が小さくなりC等級のものが増えている。(注)また病虫害も発生しやすくなっている。 (注)イチゴは次の3等級に分かれる。
2)価格低迷 質の低下と連動し、仲買人の買値が低下、収益が減少している。 周辺の農家でイチゴ栽培を始めたときは仲買人を通して行っていたが、中間搾取が過大との苦情が出て、その後、3年間はカトマンズに各自が直接、運搬し、外国人の多い高級ホテルや大使館向けに販売を行っていたが、販路の開発が難しく4年目に栽培農家を5グループに分け仲買人を間に入れた共同出荷に転換した。マーケティングの難しさを感じさせる。 3)別の作物への転換 イチゴ以外の作物、例えば、キウイへの転換を検討している。ただし、すぐ収穫できるイチゴと違って実が成るまで5〜6年間かかるのが負担に感じる。JICAのある農業関係者は「キウイは受粉期に霧が出ると受粉しにくい性質を持つため、霧が出やすいカカニ渓谷では栽培が難しいが、JAITI農場だけは地形的になぜか霧がかからない。こうした事情を知らない農家が安易にJAITIを真似ると失敗する恐れが高い」と警告する。 ●農家との話し合い
いずれも6年前からイチゴ栽培を始めている。とうもろこしや大根に比べて見入りがよいのが魅力。年収も以前に比べると2倍以上増え、生活に困らなくなった。家を建てたり、テレビも購入した。その一方、最近、イチゴの質が低下しているので他の作物がないかと思い始めている。 上記のフィールド調査やインタビューに基づき、研修参加者のあいだで次のような議論を行った。 1. 質の低下 1−1 技術水準が停滞 JAITIから一度、トレーニングを行うだけで、同農場から農家の要請に応じて技術指導を行うシステムは採用しておらず技術水準が停滞している。 1−2 水不足 2日に1回、水遣りが必要なため、水の確保に苦労する農家も多い。 1−3 地力低下 有機肥料と化学肥料のバランスが悪い。化学肥料を入れ続けると土が硬くなる弊害も出ている。但しJAITI農場ではぼかしを使った堆肥づくり・土づくりが始まっている。 1−4 供給過剰 価格低下に直結。但し、今のところ、それでもなお、とうもろこしや大根などに比べると単位面積あたりの収益率が高いため栽培が続いている。 2.連作障害 毎年、同じ場所に同じ作物を栽培することによる弊害はナス、トマト類にもっとも顕著だが、「嫌地」とも呼ばれる連作障害はイチゴも例外ではない。 こうした問題についてJAITI側は農民の創意工夫に任せることに徹しているため、指導を受けたい農民はあくまで2年間の研修を受けるのが前提となっている。Shrestha氏(同農場支配人)は「これまでNGOは余りにも手取り、足取りの指導に走り勝ちだった。私たちはあくまで意欲を持つ農家に対象を絞った指導を行っている」と話し、「700戸の栽培農家は自己責任において現在の問題に対処すべきだ」と今後の推移を見守る姿勢を取っている。「開発を真に望む者にこそ資本を投下すべき」とする、ある意味で厳しいJAITIの手法について参加者からは「普段、意欲に乏しい村人をどうプロジェクトに参加させるのかに苦労しているため、こうした突き放したやり方もあるのかと参考になった」との声も多かったが、JAITIが商品作物栽培=現金収入向上プロジェクトを地域全体の総合開発の文脈のなかでどう位置づけているのか疑問が残ったのも事実だ。 ☆参加者の声から
PART2
同協会はネパール国内でのEM菌の普及を目的に設立されたもので、研修生の受け入れや専門家派遣などの活動を行っている。 EM菌(Effective Microbio)菌とは1982年に琉球大学比嘉照夫博士が開発したもので、自然界に存在する微生物約80種類の「複合微生物(光合成菌、酵母菌、放線菌、乳酸菌)」を意味する。その特徴は好気性菌と嫌気性菌が液中で共存していることだ。米糠にEM菌を混ぜ、米糠を酸化腐敗させることなく、醗酵させるので優れた有機質肥料ができる。 例えば、その効用として同研究所は次の点をあげる。 ◎土壌改良 農地の土壌は大別すると「腐敗型土壌」と「醗酵型土壌」に区別されるが、現在農地の大半は腐敗型土壌。したがって農作物に害を及ぼす微生物(セン虫等)の占有率が高く、病虫害の発生も高くなる。それに対して醗酵型土壌では病虫害の発生も少なく優良な農作物を作り出すとされている。 EM菌を使った場合には、米糠で培養し有効微生物が土壌中で一層拡大し「醗酵合成土壌」とするため、土壌を浄化し作物の根張りと特に燐の肥効を増大させ作物の成長を助け、色ツヤ、食味、コクのある農産物を生み出し、他の有機質肥料とは比較にならない効果を発揮する。 カカニ地域では約10軒のイチゴ栽培農家がEM菌を使用しているが、「味が良くなる」「実が堅く傷みにくい」「葉がきれいになる」などの効果が出ている。また、カトマンズの中流階級以上の家庭で有機野菜の需要が出始めているので、近隣の農家1軒が直接、カトマンズに出荷している。 またブロイラーの肥育も通常は1ヶ月に1・というところが、EM菌を使用すると1ヶ月で2kgの体重増となる。また、水牛やヤギの飼料などにEM菌を混ぜると「味が良くなる」「肉が増える」などのメリットが見られる。 こうした数々の利点に比べて、EM菌を使用する農家が増えない理由として「コストの割には期待したほど効果が上がらない」「土壌改良の効果が上がるには6〜7年かかるため大方のネパール人には負担が大きい」などがあげられる。
PART1
カトマンズから東に車で約30分の距離にあるキルティプール国立実験農場を訪問した。JICAは1985年から技術支援、特に果樹栽培に力を入れている。ブドウ、ナシ(幸水など)、カキ(フユガキ、禅寺丸)、キンカン、リンゴ、イチジクなどの日本の果樹が植えられている。 ここでは主に1)ネパール各地からやってきた農業普及員への技術指導2)苗木の育成3)遺伝子資源の保存4)品種改良5)技術指導の本を出版を行っている。JICAは協力隊員派遣を通じて2002年から2007年の5年間で行う「園芸普及計画」を進めている。シニア協力隊員1名と野菜・果樹を専門とする6名の隊員で構成される。 PART2
交通量の激しい道路から30分ほどなだらかな丘を登ったところにある農家を訪問。1反あたりカキ40本を植え付け完了している。今年3月に植えたばかりで収穫できるようになるのは2年後に収穫を予定している。 こうした果樹や野菜の栽培方法が普及することにより、都市に近いところでは現金収入の途が広がるとともに、自家消費することによる栄養状態の改善も期待できる。ネパールの新生児の3割は2500g以下の未熟児で産婦の多くは貧血といわれている。豆の汁(ダール)と米と少量の野菜の食事の影響が大きい。より多くの野菜と果物を摂取しない食生活は貧しいからだけでなく、果樹や野菜の栽培方法が普及していないこともあげられる。同プロジェクトが近い将来、ネパールの食生活の改善に力を発揮することを期待したい。 PART3
1)地域コミュニティへの直接投資 ネパールの行政組織は国のもとにDistrict(郡・日本の都道府県に相当)が75あり、そのDistrictごとに10のVillage(市)があり、その市ごとに10のWard(村)がある。それぞれの行政単位ごとにDistrict Development Committee(DDC)、Village Development Committee(VDC)がある。 JICAがカウンターパートとして選んだのはこのコミュニティに最も近いWardである。例えば、実施地域の一つポカラ(ネパール西部・カトマンズから車で6時間)では、計画づくりの段階からプロジェクトが直接的に便益を受ける人々の参加を促し、ニーズアセスメント(飲料水の確保、トイレ、道路補修、架橋など)を行うとともに、ポカラに専門家を置くとともに住民参加を促進するため10名の協力隊員を村ごとに1名、滞在させた。なお、現在は毛沢東派共産ゲリラの襲撃の恐れがあるため、協力隊員も村へは立ち入り禁止となっている。 2)WCC(Ward Conservation Committee)の結成 JICAでは村のなかに住民主体のグループをつくることに力を入れ、村の代表5名、従来の村長や有力地主などのパワーグル―プから2名、その他のグループから数名、計10名で組織するWCCの結成をめざしている。特に発言権の弱い女性の立場を強化するため、女性が3割以上含めるよう働きかけを行っている。 3)WCCもプロジェクトコストを負担 現在、ポカラで進めているのは山から水を村まで運ぶ簡易水道建設だが、そのコストの4〜6割をコミュニティで負担するよう求めている。
PART1
Rapid Rural Appraisal(短期農村調査) 1970年代までは地域開発の事前調査をするためにとられた手法は主に戸別訪問だった。そのためには5〜6ヶ月の時間がかかるのが難点だった。1970年代になって代わって流布し始めたのが「Rapid Rural Appraisal」(短期農村調査)と呼ばれるもので村のなかの幾人か、あるいは集会所に集まった人々にインタビューすることによって必要なデータをすばやく集め、オフィスで加工する方法である。 PRA(Participatory Rural Appraisal) 次に1990年代になって広がり始めたのがPRA(Participatory Rural Appraisal)だ。この手法は人々が積極的に参加することによって人々の思いや生活状況などが把握できるため、ニーズアセスメント、プロジェクトの有効性調査や人々にとっての優先分野を確定する上で効果を発揮する。 実際にPRAを行う場合、次の6つの手順で行う。 1)場所の選定と当該政府諸機関への通知 2)PRAチームを編成 3)予備調査(現場を下見) 4)PRA実施 対象以外に集めることのできるデータも含め全て記録し、調査に要した時間も記述しておく。 5)データを収集 6)分析 PLA(Participatory Learning Action) また1990年代後半から用いられるようになったのがPLA(Participatory Learning Action)である。これはPRAがともすれば人々にとってはNGOやGOの側にデータを提供しただけだった反省から、PRAで得たデータをもとに人々とNGO/GOがともに開発計画をつくろうというものである。ちなみに下の表は人々の参加の度合いを示したものである。
<社会地図づくり>(Social Mapping) 実際に参加者を4つのチームに分け、自分たちが宿泊いているカトマンズ市内のホテル周辺のTamel地区の社会地図を描いた。 また、その地図をもとに観光客の目から見た地域の特性を列挙した。主に9つのポイントがあがった。1)道路が狭い 2)道路が濡れて滑りやすい 3)屋根から雨が降ってくる 4)渋滞 5)ドラッグ 6)物乞い 7)騒音 8)人口過密 9)閉店時間が早い また、このほかに<優先順位付け>(Preference Ranking)や<幸せランキング>(Well Being Ranking)がある。何をもって幸せとするかどうかは調査に参加する人々の価値観に基づき、彼ら自身がデザインするのがよい。例えば、「1年のうち何ヶ月間、米を食べられるか」「貯金あるいは借金の有無」などが基準としてあがってくることが多い。 PART2
はじめに PRAを実施するとき、気をつけなければならないことは村人と一口にいっても単純ではなく多様性を擁していることである。例えば、ファシリテーターがある村でただ1回のPRAしか実施しなかったとすれば、VDC(Village Development Center・日本の村にあたる)議長、教師とビジネスマンといった支配階級の声しか聴けないだろう。村人が彼らの前で発言することは不可能に近いからである。 また属性に従がって、例えば、村人を男性グループ、女性グループと子どもグループに分けてPRAを実施するとそれぞれのグループの優先順位の違いが浮かび上がってくる。日本でPRAを実施したとき、自分の理想とする児童公園像をテーマにすると大人たちは必ず何らかの遊具を置きたがるのと対照的に、子どもたちだけのグループは遊具を一つも置かないことを選択した。 このあと、3つのグループに分かれ、実際に様々なPRAの手法を使う演習を行った。 <Direct Matrix Ranking> 富農、ポーターや貧農がそれぞれ抱える問題の優先順位を探る。 <CSDキャンパスのSocial Mappingの実習> 会場周辺を3つのグループに分かれて、観察したことを絵や小石などを使って表現する。(写真、参照) ファシリテーターとしての要件 「ファシリテーターとしてふさわしい人はどういう人か」の設問が講師から出され次のような意見が次々と出された。例えば、正直な人、無私の人、愛のある人、公平な人、心・空気に敏感な人、話しをよく聞く人、経験豊富な人、相手の立場に立てる人、政治的志向のない人、忍耐強い、人の関心を惹きつけられるなどが挙げられた。 これを講師が次の3カテゴリーに分けた。
この結果からみると理想的なファシリテーターとは例えば、自分の娘にふさわしいパートナーを探すときの基準と似ている。すなわち、彼が第一に絶対持っていなければならない資質、次に彼が備わっていなければならない資質、第三に彼が持っていた方が好ましい資質と重要度を分析的に捉えることが重要である。 項目の数からいっても知識・技術よりも態度の面がもっとも重視されていることがわかる。あるいはこの三つの要素を人体に即してみると知識=頭脳であり、技術=手を示し、最も重要な態度はハートを意味する。PRAとはどう生きるかの概念そのものであり、人々を解放する手法の一つともいえる。 優れたファシリテーターとして以下の3つの条件をあげておく。 1)最も疎外された人々とともに働くこと 2)開発そのものが人々に利益をもたらすものでなければならない。決してファシリテーター個人を利するものであってはならない。 3)ファシリテーションそのものの技術は問題ではない。熟練によって身につく。 ☆参加者の声から
2000年に初めて行われたNNNN(通称4N)(注)カトマンズ会議に引き続いて第2回の会議が200人近い参加を得て行われた。午前の部では4Nカトマンズ連絡員の大同敏博氏と同運営委員長である清沢洋氏の挨拶に引き続いて在ネパール日本大使館から佐藤三郎一等書記官、世界銀行ネパール事務所代表の大橋健一氏がそれぞれ次のようなスピーチを行った。 NGOへの支援を拡大 在ネパール日本大使館 一等書記官 佐藤三郎氏 最近、外務省ではNGOとの協力体制の強化に力を入れています。ネパールは南西アジアのなかでもLDC(Least Developed Countries)の一つとされ開発のニーズが高い国です。日本は二国間援助としてはネパールに対する最大の援助国であり、人材育成、農業、医療やインフラ整備などの分野を中心に900億円の無償技術協力、170億円の無償資金協力や200億円の有償資金協力を行っています。 外務省では1989年以降、内外のNGOを対象に草の根無償資金協力を行っています。日本のNGOに対しては、従来の草の根無償資金協力等の内容を整理・統合した日本NGO支援無償が今年6月に創設されましたが、一部本部関連経費も支援対象となるなど、支援内容が充実しています。支援が拡大すると同時に、NGOに対してもさらに外部監査などの導入による資金管理の透明性や説明責任が厳しく問われることになります。この制度に対する問い合わせや応募は本省とともに在ネパール大使館でも行っていますので気軽に相談してください。NGOの皆さんの経験と知識を生かして優良プロジェクトの応募を期待しています。 地方分権とNGO活動 世界銀行ネパール事務所代表 大橋 健一 ネパールの開発をマクロの視点で見た場合、無視できないのは分権化の進展です。NGOの皆さんには是非、この点に配慮して活動を進めていただきたいと思います。中央政府からDDC、VDCさらにコミュニティレベルへと権限を委譲していく流れがあります。 第一は教育の分野です。1971年にそれまでのコミュニティレベルで組織されていた公立小学校の全てを中央政府が管理することになり、改革の質がかえって悪化したといわれてきましたが、2002年4月、コミュニティが設置する学校運営委員会に学校の教員やカリキュラムを任せる方針が打ち出されました。約2万ある公立小学校のうち、100校が制度への移管を希望する申請が出ています。 第2は保健の分野です。ヘルスポストの管理をVDCに任せる方針になっていることを活用しVDCと関わりの深いNGOこそ手腕を発揮できる環境になっているのではないかと思います。第3に世界銀行では小規模のインフラに関してはコミュニティレベルに直接、支援を行う方向を探っています。この場合、世界銀行としてもNGOの支援、協力に大いに期待しています。 (注)ネパールNGO連絡会=Nippon NGO Network for Nepalはネパールで国際協力活動を行っている日本のNGOのネットワーク。1993年6月に発足し、2002年11月現在、46団体が加盟している。情報交換や協力を推進し、NGO活動全体の質の向上をめざしている。 連絡先:NPO法人 ヒマラヤ保全協会内 Tel:03-5350-8458 Fax:03-5350-8459 e-mail:ihcjapan@par.odn.ne.jp ☆参加者コメント
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外務省とNGOの連携の重要性 外務省民間援助支援室 課長補佐 中野正則 ◆NGOの課題 1980年代以降、日本でもNGO活動が活発になってきましたが、欧米の先進的なNGOに比べると組織、財政基盤や組織運営能力の点でまだまだ遅れているのが実情です。例えば、2000年度の収入でいえば、世界最大のNGOであるワールドビジョンが553億円、ケアが499億円、OXFAMが128億円であるのに比べて、日本では最も大きなオイスカでも9億円に過ぎません。また有給スタッフ数でいえば、OXFAMが約700人であるのに対して、オイスカは41人に過ぎません。(添付資料1 参照) またODA総額のNGO支援の割合が諸外国に比べて低いのも事実です。例えば、アメリカでは33.6%、オランダが1.08%、カナダが9.7%、イギリスが3.8%に対して、日本は日本のNGOに対する支援に限っていえば0.51%に留まっているのが現状です。 また組織運営面においても、今後、NGOに対してますます、その活動や財政内容に関する説明責任が求められようになるのは必然といえます。それに答えうるだけの力をつけていくことが不可欠です。 ◆政府の取り組み-連携と支援 こうしたNGOの課題を踏まえ、政府はODA政策の立案やODA事業の実施にあたって(1)NGOとの連携とNGOに対する支援(2)NGOのキャパシティ・ビルディング(専門性、組織運営能力の向上)に積極的に取り組んでいます。 まず連携については、1996年度より年に4回、NGO・外務省定期協議会を開き、意見交換を行っています。また1997年度からはNGOとの共同評価も行っています。 また支援プログラムとしては、従来の草の根無償資金協力等の内容を整理・統合した「日本NGO支援無償資金協力」を日本のNGOを対象に2002年6月に創設しました。この資金協力においてはこれまで認められていなかった、一部本部関連経費等も支援対象となるなど、支援内容を拡大しました。また一方で、NGOに対しては外部監査などの導入による資金管理の透明性や説明責任を求めています。 NGOのキャパシティー・ビルディングに資する支援については、2001年度にアメリカでNGO職員向け研修プログラムを実施したのに続いて、2002年度にはイギリスで研修を実施する予定です。また2001年度より、保健・医療、教育、農業・農村開発の分野別研究会開催の支援を行っています。 さらに、1999年度より開始したNGO相談員制度およびNGO専門調査員制度については2002年度よりNGO相談員を全国各地のNGOに29名配置するとともに、NGO専門調査員を15名、NGOに派遣しています。 今後、このような研究会の開催を通じてNGOの力量がアップし、NGO間及び政府諸機関とのネットワークが広がることを期待しています。 ◆問い合わせ: 外務省経済協力局民間援助支援室 TEL.03−3580−3311内線(5883、2906) FAX.03-6402−2146 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/
農林水産省のNGOに対する支援について 農林水産省総合食料局国際部 技術協力課課長補佐 藤盛隆志 国際協力活動におけるNGOの役割の重要性がますます大きくなるなか、農林水産省ではNGOに対する支援を国際農林業協力会(AICAF)を通じて行っています。その主な内容は次のとおりです。 1)専門家派遣支援 NGOが確保困難な専門家を海外の協力現場に派遣し、現地で技術指導等を行う事業を支援します。例えば、2001年度にはアジア学院の求めに応じてミャンマーに技術者2名をそれぞれ30日と20日間にわたって派遣したほか、ICA文化事業協会のネパールのプロジェクトに127日にわたって1名を派遣するなど13団体に対する支援を行っています。 2)人材育成 日本のNGOが協力している現地NGO関係者を近隣の類似協力事業へ派遣し、関係者同士の交流を通じて現地NGO関係者等の育成を図っています。例えば、2001年度には日本国際ボランティアセンターのラオスの農村開発プロジェクトから5名のラオス人をカンボジアの同団体のプロジェクトに送り出すなど4団体の南南交流に力を貸しています。 3)NGO受入研修専門家派遣支援事業 NGOによる現地NGO専門家・農村指導者等の受入研修に対し、NGOが確保困難な日本人専門家の講師派遣を支援しまています。2001年度にはアジア学院に計5回にわたって「農薬の危険性」などのテーマで講師を派遣しています。 4)国内NGO専門家研修事業 NGOと共催し、NGO専門家等を対象とした研修を開催します。昨年度はアジア学院と日本国際ボランティアセンターと各1回、開きました。 5)技術指導書の発行 分野別テーマについて、NGO向けの技術指導書を作成し、農林業関係NGOに配布します。過去3年間で「村々の開発を目指すNGO活動ハンドブック」「果樹剪定ハンドブック」「熱帯土壌の土つくりハンドブック」を作成しています。 6)NGO列島縦断フォーラムの開催 NGO活動を市民の方々や行政に理解して貰うため、毎年1回、地域を定めてフォーラムを開催しています。過去3年間は富山、秋田、高松各市の順に開催しています。その他に、年に2回NGO活動を紹介する情報誌を発行しています。 ◆問い合わせ: 国際農林業協力協会(AICAF) TEL.03−3263−7377 http://www.aicaf.or.jp/ngo/
バングラデシュにおける生活改善への取り組み 日本・バングラデシュ文化交流会事務局長 出澤 兼弥 ◆設立の経緯 ガンジス川の河口に広がるバングラデシュでは、自然災害が多く、家や農地を失う人がたくさんいます。特に農村地帯では、インフラの未整備や衛生観念の低さから栄養失調、細菌性下痢、眼病、幼児の発育不全などが多くみられます。 当会が誕生した経緯は、1983年から86年にかけて、青年海外協力隊員としてバングラデシュで活動してきた元隊員たちが帰国後、10年にわたり交流、協力活動やバングラデシュの文化紹介活動を行ってきた過程で、1996年に有志が集まり、「協力と交流活動を推進し、世界の平和と親善に寄与することを目的に設立されました。現在、「農村巡回型生活改善活動」「住民参加型学習」等を実施し、生活改善に向けた住民の意識の向上に取り組んでいます。 活動している地域はバングラデシュ西部、インドのカルカッタに近い地方、ジェソール地域シャシャ郡です。人口は2001年6月現在、約30万人。約7万4千世帯のうち9割が農業に従事しています。また、そのうちの15%が土地なし農民です。 ◆主な活動内容 (1)栄養改善指導 バングラデシュでは栄養のバランスが悪く、栄養失調などの病気が多く見られます。そのため乳幼児死亡率も高くなっています。バザールで値段の高い食材を買わなくても身近に手に入る食材(野草種も含めて)を見直すことによりバランス良く栄養を摂取することを学習しています。 (2)保健衛生指導 同じ池の汚れた水で家畜を洗ったり、人が水浴びをしたり、食器を洗ったり、洗濯をするという光景はあちらこちらで見られます。約30%の世帯にトイレがありません。そのため細菌性の下痢、皮膚病などに罹患する人が多く見られます。生活環境を清潔にすることが健康な生活につながっていくことを学習しています。 (3)地下水の砒素対策 地下にある砒素が井戸水に含まれるようになり、長年知らずに飲んでいた住民に砒素中毒症状が現われ深刻な問題となっています。(注)最悪の場合にはガンを引き起こし死亡するケースも多いのです。私たちは常時、村の井戸水の砒素検査をして、危険な井戸は村人に使用しないよう伝えています。 また栄養の視点からも砒素問題に取り組んでいます。動物性タンパク質、ビタミンA・C・Eをバランス良く摂るためのバランスフードを住民に紹介するとともに戸外での調理教室も開いています。 (4)経済的自立 バングラデシュの伝統刺繍「ノクシカタ」を使った手工芸品は女性が参加できる現金収入が得られる方法の一つです。特にシャシャ郡の女性たちはより伝統的な技法が優れていることで知られています。その特性をいかし、安定した収入を得て経済的自立のみならず、女性たちの社会参加にも役立っています。 また、その貴重な収入を使って例えばトイレを作ったり子供の教育のため貯金をしたり、直接生活向上につながる計画的な生活設計を提案しています。 (5)家計経済 家庭の収入、支出を一日、一日、家計簿に記入することで無駄な出費をなくし、計画性のある家庭運営をめざすようセミナーなどを開いています。 ◆活動方法 農村巡回生活改善セミナー(年14回) スペシャルセミナー(年6回)ハイスクールとの協力体制のもとで実施 栄養改善調理実習セミナー(年28回) 戸別訪問・カウンセリング・アドバイス・・各種セミナーで学習したことが日常生活で活かされるようフィールドスタッフが各家庭を回りながら、きめの細かいアドバイスをしています。住民の良き相談相手であるための努力をしています。 このほか、バングラデシュのスタディツアーやバングラデシュ人現地スタッフの日本研修などを通じて文化交流にも努めています。
◆同団体・連絡先 〒189-0022 東京都東村山市野口町1-22-16 サンライズマンション 101 TEL/FAX 042-396-3063
エチオピアの実情と今後の取り組みについて エチオピア未来の子供 事務局長 山田進 ◆設立の経緯 私たちの団体はエチオピアの食糧不足を解決し、経済的自立をうながす人材育成に協力することを目的に1997年に設立されました。代表であるタスファエ・ガライヤはエチオピアに生まれ、アメリカの学校に学び、現在は陶芸家として家族とともに日本に住んでいます。私たちは彼の「過去30年間にわたって飢餓や内戦に苦しんできた祖国の人々を支援したい」という熱い思いに強く共感し、ともに活動してきました。今までチャリティーパーティーや大好き茨城県民祭りでのバザーなどの活動を行ってきました。 ◆NPO法人へ 2002年1月25日にはNPO(特定非営利活動法人)の認証を取得しました。その目的は、エチオピアの人々に対して農業知識や技術を指導することにより恒常的な食料不足の解消を図るとともに,自然災害の発生等による被害に対し援助物質の供給等の支援活動を行うこと、国内外のボランティア団体と連携し国際援助活動を行うことにより国際社会の発展に寄与することにあります。 ◆現地調査を実施 まず、活動としてエチオピアのレベレスケ地方に農業学校を建設することをめざしています。そのため、2002年8月26日から9月5日にかけて現地を訪問しました。現地は当会がコンタクト先としている現地NGOの推薦によるものです。 アジスアベバで面会した農業省スタッフから、現在、同国で28ヵ所に職業訓練センター(農業、工業、商業など)を2001年から下記の要領で開校しているとの説明を受けました。
◆農業学校建設予定地、訪問 候補地はアジスアベバから北へ100キロメートルほどのレベレスケ地方にあります。人口は約5000人、海抜1680メートルの高地です。耕作面積は約120ヘクタールで平均気温20度前後、湿度30%前後と爽やかです。1974年〜1991年の社会主義政権下に整備した灌漑施設建設がエチオピア人民革命戦線、現政権によって中断されています。なお、水源は14ヵ所から湧き出ている湧水でした。赤カブ、ニンジン、キャベツなどが栽培されていました。土質は火山灰混じりの土で保水力が乏しく、酸性土で痩せています。土壌改良を施さない限り、農業経営は困難に思われました。 ◆今後の課題 (1)今回の訪問はエチオピアの雨季(6月〜9月)のため、緑も多くすばらしい環境のように思えましたが、乾季はどのようになるのか、さらに調査が必要です。また土壌が火山灰質であることから、農業を行うのに適しているかどうかの精査が必要に思われます。土壌や農業の専門家の協力を得ることが不可欠です。 (2)今回は個人的なコンタクトに頼ることが多かったが、今後はそれだけでなく大使館やJICAなど、より広範なルートで情報や人材を求めることが重要と思われます。 (3)当会はまだ発足直後ということで、財政的にまだまだ規模が小さく、今回の視察も殆どが個人のポケットマネーで支出しましたが、それだけでは限界があるだけに公的な支援を仰ぐことができないかと思います。 ◆問い合わせ先 319−0312 茨城県東茨城郡内原町大足990−1 TEL.FAX 029-257-0733 e-mail:ethiopia@sea.plapla.or.jp
今後求められる国際協力のあり方について (特活)ICA文化事業協会 理事長 佐藤静代 参加者を3つのグループに分け、世界、日本とNGOのそれぞれの過去(1970〜1990)、現在(1990〜2002)そして未来(2002〜2010)をキーワードで表わす作業を行いました。 その結果は以下の別表のとおりです。こうした総括を踏まえて、それぞれ次の点についてさらに考えを深めるよう課題が出されました。
佐藤氏は「こうした問いかけを絶えず自らに行うことによって、突然のひらめき、またはうまく行きそうで心が惹かれるアイデアが浮かぶこともある」とアドバイスをしました。 その他、会議の席上、以下のような質疑応答がありました。
過去〜未来を見渡す図
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