JANARD(農業・農村開発NGO協議会)ワークショップ

『パーマカルチャー道場ふたたび』

 報告書


2007年9月16日(土)

講師:設楽 清和(しだら きよかず) パーマカルチャーセンタージャパン事務局長

  

目次

  1. 森を作る 〜 それは人類存命の切り札
  2. なぜ森作りは必要か・・・温 帯の農業を熱帯の農業に適用できない理由
  3. 森作りに必要なこと:その1・・・それは水の確保
  4. 森作りに必要なこと:その2・・・風から守る 
  5. 補足・メモ


1.森を作る 〜 それは人類存命の切り札

私たちは生きていくために自然からたくさんのものをもらっています。新鮮な空気、きれいな水、そして自然を利用した農業から授かる食べ物。また、森は自然そ のものを守っています。洪水を防いだり、海に養分を提供したり、生態系を安定させたりと様々です。都会に暮らしていると、森が身の周りになくても暮らして いくことができるかのように感じてしまうかもしれません。しかし、自分が吸収しているものはどこから来るのか辿っていけば、いかに自然というものに自分が 生かされているということがわかるはずです。
 このことから考えると、自然が破壊されていて、もうすでに森の力が足りなくなっ てしまっている、または全くなくなってしまったところに森を作ることができれば、自然が元通りになり、再びそこで人々は生きていくことが可能になるので す。
 森を作るということ、それは破滅の一歩をたどる人類の最も重要な取り組むべきこ との一つなのです。
今回の講義では、熱帯で農業を行う場合になぜ森作りは必要なのか、森を作るにはどうしたよいかを学びました。以下に述べて生きたいと思います。



2.なぜ森作りは必要か・・・温 帯の農業を熱帯の農業に適用できない理由

 温帯(日本)と亜熱帯(熱帯)の大きな違いとは?

答え・・・それは気温!!


Q.気温に違いがあると、どんな影響があるのでしょうか?

表1

 このように、気温に違いがあると、微生物の活動に違いが生じるため、微生物の活 動に伴って、温帯では冬は栄養分の生成が抑制されるのに対し、亜熱帯では栄養分の生成が常に行われています。

Q.では、栄養分の生成のされ方が異なると、どのような影響があるのでしょうか?

温帯と亜熱帯(熱帯)に分けてみてみます。
地表面と地中の養分の割合の違い(%)

養分割合

図を見ると、同じ時間内でも温帯では植物が小さく、亜熱帯では植物が大きく成長することがわかります。これは、植物は地中に栄養分があればあるほど吸収してしまうため起こる現象です。微生物の養分の生成のされ方に沿って、温帯では徐々に植物が生長し、亜熱帯では急速に植物が成長します。このようにして、微生物が有機物を分解することによってできた栄養分は、土壌中から地表面の植物の中に移動していきます。亜熱帯では栄養分をより植物に溜め込むということになります。

Q.この植物の成長の速度は何を意味しているのでしょうか?

植物が早く成長することは、早く作物が取れるし、一見良いことのように感じるかもしれません。
 しかし、これは恐ろしいことを意味しているのです。
 微生物は植物のための栄養分を生成します。その栄養分のもととなるもの、それは有機物です。
 土壌中にある有機物は限られています。
 温帯では有機物の分解が冬に抑制されるため、植物はゆっくりと成長し、土壌中の有機物を使い果たすことなく回復させることができます。
 一方、亜熱帯では、微生物によって土壌中にある有機物がどんどん分解され、分解によってできた栄養分は植物によって吸い尽くされてしまいます。
 収穫をし終えて新たに植物を栽培したとしても、栄養分のなくなってしまった土壌では、植物はもう育つことはできません。

Q. では、どうすれば温帯の農業を亜熱帯に適用できるのでしょうか?

 答えは、土壌の栄養分を増やすことです。ここで森作りの必要性が問われます。
 亜熱帯の農業では養分を多く含んだ果樹が好まれます。果樹が地面に落ちるとで土壌中の栄養分を効率的に増やすことができるためです。  養分のない土地 にはまず30センチほど有機物を敷き詰めます。次に微生物 による分解が始まったらすぐに植林します。そのうちに、森(林)の有機物で他の木が育つようになります。


3.森作りに必要なこと:その1・・・それは水の確保

 植物が育つのに必要なものの最も重要なものとして、水があげられます。


Q.では、森はどこから水を得ているのでしょうか?  

  答えは、雨です。 
  しかし、雨にも種類があります。

 amewariai


 このようにして、海から発生した水蒸気からできる雨が20%、 森自身から発生している水蒸気からできる雨が80%です。 水を森自身で作り出すという点において、森は自立していると言えます。
 また、海岸部の 森は海から発生した雨をより多く利用することができますが、内陸部の森は利用することができません。そこで、森は森同士で雨を補強しあっています。海は海 岸部の森に、海岸部の森はその隣の森に、海岸部の隣の森は次の隣の森に、雨を供給しています。ですから、海岸部の森を切ってしまうと、内陸部の森は育ちに くくなってしまいます。

Q.では、森から出た水蒸気はどのようにして雨になるのでしょうか?

図を使って見ていきます。

 際の木の高さの20倍吹き上がる(上昇気流)⇒雲ができ る⇒雨

移動エネルギー

森に向かって風が吹いてきます。移動エネルギーです。この移動エネルギーである風は、森の端の木に当たることによりエネルギーのうち60%は上空へ吹き上げます。上昇気流です。森から発生した水蒸気は、この 上昇気流に乗せられ、際の木の高さの20倍の高さまで吹き 上がります。 こうして水蒸気は雲となり、雨を降らせることができるのです。

Q.森はどのようにして雨を蓄えるのでしょうか?

雨のルートを図でたどっていきます。

雨水の割合

上空から降り注いだ雨は、まず、@葉に当たります。葉を伝ってA枝に流れていきます。葉や枝に雫を残しながら、雨はB樹幹へと溜め込まれます。木を伝っ て、雨は土に到達します。C表土に浸透し、表土のうちの30% に水を含ませながら、土の中のD団粒構造の中へと溜まります。また土の中に浸透していく際、Eの根間にも水は溜められます。

 このようにして森は水を確保することができるのです。



4.森作りに必要なこと:その2・・・風から守る

森を守るために忘れてはならないことがあります。
 それは、森の際の木を切ってはならないということです。

Q. なぜ森の際の木を切ってはならないのでしょうか? 

  森の際の木は風によって運ばれる有機物を一番多く受け取ります。ですから森の中の木に比べとて も大きく成長します。この際の木のおかげで中の森は守られているのです。
 森は風の影響を受けます。先ほども述べたように、移動エネルギーである風の60% は際の木の高さの20倍上空に吹き上がり、残りの40%は木との摩擦によって熱エネルギーに変換され森の中に入っていきま す。森の中に入ってきた熱エネルギーは中の気温を暖かく一定に保ちます。

熱エネルギー

もし、この際の木を切ってしまうとどうでしょうか。吹き上がるはずだった60%の風が吹き上がらず、風のすべてが熱エネルギーに変換され森に入ってきます。すると森の中が暑くなりすぎてしまい、森全てが枯れてしまう現象を引き起こします。風焼けです。
 ですから、森林保護には、際の木を守ることが大切なのです。



補足・メモ

パーマカルチャー:地球を森にしていくこと・永続的な文化を創る

               オーストラリア発祥、1976年世に出る

 ○ 物が土に戻るかが重要
 ○ 開発全体のデザインを考える。パーマカルチャーを中心に。

 ・ 地球上の利用できる真水は0.0008%しかない

 ・ 地水をあげるには、深根性植物を植える。Ex.毛細管植物 =根が腐ったときに、空洞ができ、その空間によって、地下水が引き上げられる。

 ・ 空気中の69%窒素⇒窒素固定・・・マメ科の植物(根粒菌etc)

 ・ デンマーク、エコビレッジ

 ・ 人間は1日に2万6000リットル空気を吸っている

 ・ 現代はモノの文化

 ・ 土を2mほれば15℃で安定

 ・ はげ山にはスウェール(山の傾きに対して、溝を掘ることで、そこに水をためる。するとその付近の木が良く育つ。結果、土砂崩れを防ぐことができる)



文責:田畑智美(21世紀協会



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